NOTES

ケニア、6日目。「これも、ケニア」

あしたにはナイロビを発つ。この1週間で、1年分くらいの情報量を全身で浴びた気がする。そのくらい、あっというまの、濃厚な旅になっている。

ケニアに行くまえに、ツアーをアレンジしてくれた人に「ぜひここに行きたい」と伝えていたのが「Kibera」=キベラという、ケニアのスラム街。正直なところ、ぼくらの旅は、安心と安全が約束された旅とも言える。現地に7年ほど住む日本人がアテンドしてくれたり、現地で会う人たちもいわゆる立派な会社に勤めている人だったり、泊まっている宿もそういう人たちが利用するようなホテルだったり。だから、ほんの1ミリだけでも、「これも、ケニア」という場所を訪れたいというきもちがあった。

いざキベラに行くというこの日は、朝から体調があまりよくなかった。ここにきて高山病か?と思うほど、頭がぼーっとしていた。そんな中、ガイドをしてくれるトモさんという日本人女性に連れられて、アフリカ最大級とも言われるスラム街へ立ち入る。ちなみに、トモさんは、ケニアでは有名な日本人で、その半生も豪快でおもしろく、すこし話を聞くだけで1本の映画を観ているかのような人だった。

キベラでは、日用品や食料のある市場や、みんなが集まってお茶をするカフェ、人びとが暮らす家屋の通り、決して観光客だけでは立ち入ることのできないような秘密の場所などに行った。地元の人たちがぎゅうぎゅう詰めになって乗るバスや、3人乗りのバイクにも乗った。このあたりで、朝からの頭痛がどこかに吹っ飛んでいた。

街の中には犬や猫があちこちにいて、川はゴミ集積所のように廃棄物であふれかえっている。ここで暮らす人たちは、男性は革靴、こどもたちはクロックスのようなサンダルを履いていることが多く、女性は派手や模様やカラフルな洋服を着ている人が多かったように思う。家のまえで遊んでいるこどもたちに手を振ると、みんな真っ白な歯を見せて手を振りかえしてくれた。

「Magical Kenya」

ケニア政府が観光プロモーションとして2000年代から使用している公式スローガンなのだという。たしかに、魔法のようだと思う。新宿のようなビルが立ち並ぶビジネス街もあれば、キベラのような世界有数のスラム街もある。渋谷のような活気ある繁華街もあれば、サファリのような野生の大自然もある。パッ、パッ、パッと魔法のように表情を変えていく、これらすべてが、ケニアなのだと思う。

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(たしかに、よしたに。)