NOTES

ケニア、0日目。「目が合うということ」

ケニアに向かっている。人類発祥の地と言われている東アフリカへ。

今回、ぼくにとって初めてのアフリカに上陸するきっかけは、WAZIWAZIというケニアと日本を橋渡しするプロジェクトのブランディングのご縁。現地での予定は、地元のラグビー強豪高校やケニア日本人学校、ラグビーアカデミーにお邪魔してラグビーを教えたり、在ケニア日本大使館への訪問、駐在する日本人の方々とお話をしたりなど。

ケニアに行くには、「中東の玄関口」と言われるドバイに降り立つ必要がある。乗り継ぎの時間が12時間ほどあったから、早朝4時からドバイを観光することに。

ドバイといえば、石油王。頭から全身を覆う白装束の、背の高い兄さんたちが高級時計をしている。そんなイメージがあったけれども、実際にはGDPのうち石油の占める割合は1%で、1990年代から国として注力してきた観光や投資が稼ぎの中心なのだという。ぼくの行った空港から車で1時間圏内は、どこに行ってもクリーンで安全な場所だった。

お世話になったUberの運転手は言う。「ドイツから半年前にドバイに来たんだ。こっちに来てから桁違いに儲かってるよ。 ドイツではUberのドライバーなんて地位が低いけど、 ドバイでは全然ちがう。日本でUberはどう?」なんていう会話を助手席に座りながらした。

ドバイは、「冷凍庫のような室内」と「サウナのような屋外」の国だった。冷房の効いた空港やビルなどから一歩外に出ると、かけているメガネが一瞬で曇る。誇張なしに、1秒で汗が噴き出てくる。もちろん、そうではない地域もあるのだろうけれど。

せっかくだから、と、世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」を見に行くことに。そのついでに、となりにある「ドバイモール」にも寄ってみた。そこの地下駐車場にはロールスロイスやらベントレーやら、いわゆるザ・高級車たちがそこらじゅうにズラリと並ぶ。平日の真っ昼間である。

モールをぶらぶらしていると、エルメスで小学生くらいの男の子がひとりでカードで決済していたシーンを目撃した。丁寧で大柄な店員ら3人に囲まれて。すごい世界があるもんだと思った。

そうそう。バーキン片手に優雅に歩いたり、カフェでくつろいでいたりするドバイのお金持ちたちは、ぼくと一度も目を合わせることはなかった。たしかにTシャツ、短パン、サンダルで、大きなリュックを背負った「よそもん」のアジア人なんだけどさ。

日本人が海外に行くと、「変な人が近づいてきたら目を合わせてはいけない」と教わる。実際に、ぼくもそうしてきた。けれど、それを「される側」になってみて、はじめてわかった。「目を合わせる」って、愛なんだ。一瞬のコミュニケーションだけど、そこには無限の情報量を詰められるのだと。

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(たしかに、よしたに。)