NOTES

ケニア、2日目。「ケニアのネーム」

この日は、Embu(エンブ)というナイロビからクルマで130kmほど北東に離れた地へ移動した。

クルマに揺られながら、窓越しにケニアの街並みをずっと眺めていた。

そこらじゅうの道路に牛がいて、モノを運ぶ立派な労働力として活躍している。とにかく休んでいる人が多い。家のまえで、ビーチに置いてあるようなプラスチック製の肘掛けチェアに座っている。そのへんの地面や道路にふつうに寝転んでいる。ほとんどの人がクロックスのようなサンダルを履いている。女性たちの服装は、原色カラー(とくに赤)が多い。ちょっとおしゃれな場所へ行くと、カラフルな装飾付きの編み込みヘアでファッションをたのしんでいる女性も多い。

そんなふうに車窓越しにケニアという国を観察をしながら、Embuのとある高校に到着した。

ここのラグビー部は、ケニア国内のチャンピオンなのだそう。校庭というよりは原っぱ、という広大な土地で夕陽を浴びながらすこしだけコーチングの機会をいただいた。英語でラグビーを教えるのは初めての経験で、「相手(敵)が‥‥」をどうやって表現するのだろうと困ってしまうシーンがあった。こういう英語でラグビーを指導する現場にいる機会を増やして、もっと英語を身に付けないとなぁ。それはそうと、ケニアの高校生たち、荒削りだけれど、スピードとステップが鋭い。人と衝突することにためらいがない。

短い時間だったけれどもセッションを終えた。すると帰り際に、ある先生から声をかけられた。

「ケニアのことばで、『NGORO』というものある。意味は『ハート』。ゴロー、あなたはハートの人間だね」

ンゴロ。ケニアネームを授かってうれしい。ラグビーというひとつのスポーツを通じて、こうして遠く離れた地でもすぐにハートを通わせ合える。すてきなことだよなー。

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(たしかに、よしたに。)