NOTES

いいオフが、いいオンを生む。

カッキーという愛称で親しまれている、ちょっとユニークなラグビー選手がいます。本名は、垣永真之介。大学ラグビー部の後輩です。先週末、そんな彼が企画した「ScrumTime PARTY」というイベントに参加しました。いつもは「ゲスト」をやることが多いラガーマンたちが、「ホスト」となってお店を出したりトークショーをしたり。ファンにとっては、選手とスクラムを組めちゃうくらい距離が近い、うれしいイベントです。

ぼくは「OFF THE FIELD」という、大学ラグビー部の同期の山中亮平と立ち上げたプロジェクトとして出店しました。「OFF THE FIELD」は、2019年のラグビーワールドカップの日本中の熱狂を未来につなげたいというぼくらの想いからはじまり、日本全国の幼稚園と小学校にラグビーボールを寄贈するためのチャリティー企画をスタート、これまで約2000個のラグビーボールを届けることができています。

さて、今回のイベントへの出店は、もともと相方である山中がトークショーに登壇することだけが決まっていたのですが、「せっかくの機会だから、OFF THE FIELDとして、久しぶりになにかやろうか」とふたりで話したことがはじまりでした。それが、イベントの約1ヶ月前。なにを売るのか、企画の中身はからっぽでした。

その直後、ぼくが仕事でケニアのラグビーアカデミーを訪れる予定があって、現地のこどもたちが色褪せた普段着でラグビーしている光景を見たのです。ふと思いました。「この子たちに、みんなおそろいのユニフォームを寄贈できたらいいなぁ」と。ケニアに一緒に行った廣瀬俊朗さんにぼくの動機を伝えたところ、「めっちゃええやん」と背中を押してくれました。

ケニアから帰国したしたのは、イベントの2週間前。すぐに山中に電話をして、ケニアで体験したこと、チャリティーをやりたいという想いを伝えたら、彼も「めっちゃええやん」と賛同してくれました。イベントの総合プロデューサーであるカッキーにも連絡をしたら、会場や他出店者への調整をすぐに進めてくれました。

そこから一気にチャリティーグッズの企画とデザイン、製作会社への発注、SNSでの告知をして、イベントの6日前にすべてのアイテムが超速で納品されました。それからイベントの前日に神戸に行って、グッズを着用した山中の撮影をおこない、帰りの新幹線でSNSで価格とともに発表。当日わざわざ来てくれる人への感謝のしるしとして、ステッカーを用意して、会場に掲示するポスターも用意して、いざ本番。強い動機さえあれば、2週間でここまでできるんだと自分でも驚きました。もちろんぼくの「本業」やプライベートというのも別にあるから、それはそれは濃い2週間でした。

いよいよイベント当日。築地にある会場のビルにラグビーファンがおおぜい詰めかけて大盛況。2日間で来場者は約1000人だったとか。人の賑わいができたことで、ビルに入っている飲食店も大いに儲かっていたようです。ぼくらOFF THE FIELDも山中営業部長が大活躍してくれて、無事にイベントをおえることができました。

ぼく自身、はじめて「売り子」をやったのですが、改めて、立ち仕事人たちは偉大ですね。その道のプロたちは「毎日やってたら慣れるよ」と口をそろえて言いますが、いやぁ、すごいです。料理人、販売員、美容師、客室乗務員、警備員、みんなすごい。

それで、いちばんすごいなと思うのが、この大きな企画を生み出したカッキーという男です。だって2年前のラグビーワールドカップの日本代表メンバーに選ばれているような、現役ラグビー選手ですよ。この日、ホストとして集まっていた他のラガーマンのみなさんも、実にカッコよかった。競技生活をしているうちに、こういう社会とつながる場にいるだけで大したもんです。

フィールド以外の「オフ」での時間をどう過ごすかが、アスリートとしての「オフ」の時間を決める。そんなことを思った2日間でした。

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(たしかに、よしたに。)