NOTES

人それぞれの、仕事のうれしさ。

仕事のうれしさって、人それぞれあると思います。「そんなのないよ」という人がいることも知っています。それでも、1ミリだけでも「まぁ、これがあるし」と思えるものはあるはずです。

ぼくの仕事のひとつ、コピーライターという職業は、アイディアをことばにして、それを活かす方法を考える仕事です。この仕事のうれしさというのは「いいモノができた!」とガッツポーズしたり、なにかの賞をもらって自信をもらったときだったり、報酬が振り込まれて口座残高を見たときだったり、たぶんコピーライターそれぞれ。

幼児教育の「もみじグループ」の50周年記念式典にご招待いただき福岡・博多に行ってきました。ご縁のはじまりは、6年くらい前に「人が、みんなでそだつ場所。」というスローガンを書かせてもらってから。それから経営の重要な局面で3代目の息子さんからいつもお声がけいただき、いろんなプロジェクトをご一緒してきました。

「記念式典でゲストのみなさんにお渡しする記念誌をつくりたい」‥‥ご相談を受けたのは去年の夏くらい。さまざまな企画を何度も出して、最終的には、過去の周年誌にあったたのしく賑やかなトーンとはちょっと違う、文字だらけのロングインタビューを掲載したシンプルな文集のようなものをつくろうとご提案しました。そして、そこには「2代目と3代目が並んだ親子の写真も掲載したい」と。

それは、ぼく自身が亡くなった父親と一緒に写真を撮りたかったし、父のことをインタビューして文字に残しておきたかったという想いがあったからでした。いつかみんな、いなくなる。だから、生きているうちに「心のなかになにがあったのか」を遺しておくしかない。そう感じていた時期でした。

いざ記念式典の会場に足を運ぶと、いろいろな人がその記念誌を手にしています。現場ではたらく先生たちも。ご来賓スピーチでは「この親子写真がいい」とわざわざ壇上で紹介してくれた地元のお偉い人もいました。

理念づくりや採用や事業のお手伝いをさせてもらっている会社が、これだけ多くの人たちに影響を与えていて、よりよい未来へと走ろうとみんなががんばっている。それでいて、「ありがとうございました」と言ってもらえて。

ぼくにとっての仕事のうれしさとは、「よろこんでもらうこと」。善人ぶったような言い方ですが、そう思わせてくれるクライアントのおかげで、ほんとうにそう思います。情熱をもって、誠実に向き合って、粘り強く、正しい判断をして、自分に嘘のない道を進めば、結果としていいモノづくりになる。そんなことを学ばせてもらいました。

式典のラストでは、もみじグループのあゆみを編集した映像が流れて、涙があふれてしまった。途中でぼくの写真まで登場して、さらに胸がじんとした。周囲の人から「え、この人、泣いてるよ?」と思われないように、涙を拭うのをやめていたせいか、ホテルの部屋に戻ってメガネを見たら、汚れだらけになっていた。


(たしかに、よしたに。)